眼、鼻、耳など顔の変形-慶應義塾大学病院形成外科

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眼の変形

先天性眼瞼下垂

症状

眼瞼下垂とは眼瞼(まぶた)を挙げる筋肉が十分収縮せず、眼瞼が瞳孔(黒目)に覆いかぶさり、視野の妨げになっている状態です。眼瞼を挙げる作用を持つ筋肉には上眼瞼挙筋・ミューラー筋・前頭筋があります。
先天性の眼瞼下垂では生まれたときから特に上眼瞼挙筋の発達障害や欠損を認め、目を大きく開けることが困難になります、そのため前頭筋を使用して眉毛を持ち上げて目を開くことが多くなります。下顎を挙上して物を見る癖がつくことも多くなります。
子供の視力は6歳ぐらいまで発達しますが、それまでに目を全く使わない状態が続くと、弱視というメガネなどでも矯正できない視力の低下を招くことがあります。

診断

先天的な眼瞼の異常の中ではもっとも頻度が高い病気です。ただ、斜視が原因で片目を閉じているために眼瞼下垂と間違われたり、眼瞼下垂しか異常がないにもかかわらず、斜視などの疾患に間違われたりしやすいなど、診断は慎重に行わなければなりません。先天性動眼神経麻痺、重症筋無力症などとの鑑別も必要です。
成人の眼瞼下垂では眼瞼の位置や挙上量を測定することで、比較的容易に診断を行えますが、子供の場合、じっとしていることができないために正確な眼瞼下垂の診断を下すことが困難なこともあります。眼瞼の左右対称性、眉毛の位置、頭位回旋の状態、顎の位置などから、総合的に判断を下すことになります。

治療時期

先天性眼瞼下垂でもっとも大切なことは弱視を予防することです。生後1ヶ月までは全く目が開かなくても弱視の原因にはなりませんが、それ以降は健側の目をアイパッチでふさいで、積極的に下垂側の目を使わせたり、テープで下垂側の眼瞼を吊り上げて弱視を予防する必要があります。ただし両眼視を行うためには最終的に手術が必要になります。
手術時期に関しては、その手技や結果の不安定さから4−5歳以降に行われることが一般的ですが、現在は比較的早期に手術を行うべきという意見も多くなっています。慶應病院形成外科では症例に応じて1歳からの早期手術を行っております。
特に視野が高度に障害されている場合は1歳未満の早期に手術を行うことも増えています。早期手術を行った場合、顔面、眼瞼の発達に伴い、将来的に再度修正が必要になる可能性があり、心配されるご両親も多いのですが、ほとんどの場合傷跡は目立たないことが多いですし、再修正を行うデメリットは多くありません。

手術方法

慶應病院形成外科では、‘眼を開く’という機能的な側面だけではなく、‘きれいな瞳を作成する、なるべく左右の違いを少なくする’という整容的な側面にも極力意識を傾けるために全ての手術を顕微鏡下に行っています。
手術方法としては大きく(1)上眼瞼挙筋腱膜を短くする方法(挙筋腱膜前転術)と(2)大腿筋膜等を使用して眼瞼の皮膚を額の筋肉に吊り上げる(吊り上げ法)の2通りがあります。(1)の方法は眼瞼挙筋の力がまだ残っている方に行います。(2)の方法は眼瞼挙筋の力がほとんど残っていない方に行います。(2)の方法ではさらに大腿筋膜だけではなく、側頭筋膜、ナイロン糸などを使用することもあります。手術方法の決定にあたっては、術前に個々の症例の年齢、筋肉の発達具合、強さ、重瞼線の有無、高さ、眉毛の位置などを見極めて、一人一人の患者様にあった方法を細かく検討しています。最終的には慶應病院形成外科スタッフ全員による術前カンファレンスの総意で手術方法の決定を行っています。ただし極まれに手術中に顕微鏡下で観察した筋肉の発達具合の所見に応じて手術方法に修正を加えることもあります。

手術内容

手術は細心の注意と配慮をもって行います。最も重要な切開線のデザインですが、左右の重瞼線(ふたえの線)の高さのわずかな違いにも気をつけて、直径0.3mmのデザインペンを用いて慎重にデザインを行います。(一般的に病院に普及しているデザインペンは細くても直径1o以上です。)また健側に重瞼線がない場合は、患側と同様に重瞼線を作成することも承っています。さらに大腿筋膜移植などの手術の場合、一般的には眉毛上に切開を置きますが、傷がやや目立つ場合があります。しかし慶應病院形成外科では眉毛内に切開を置き、傷跡をほとんど目立たなくさせるように工夫しています。切開後、丁寧に組織を剥離するのですが、顕微鏡下に先細の高周波メスを用いてほぼ出血を起こさずにきれいな術野を展開します。高周波メスを用いて無血の術野を展開することにより眼瞼挙筋の状態をより正確に顕微鏡下に把握できます。その後、状態に応じて挙筋腱膜前転もしくは大腿筋膜移植(側頭筋膜移植)を行います。開瞼を妨げている横走靭帯などがしっかりしている場合は、これを処理して自然な開閉瞼が得られるようにします。傷跡も出来るだけ丁寧に縫合します。抜糸を行う際も、患児のストレスを軽減し、体動による傷の形成や出血が少なくなるよう、全身麻酔下での処置を行っています。
手術に伴うデメリットとして閉瞼不全(目が閉じにくくなる)やlid lag (顎を動かさずに下に目を向けると、左右で目の開きが異なってしまうこと)があります。これはある程度は許容していただかなくてはいけないことなのですが、日常生活の行動を注意することにより、大部分問題なく過ごすことが出来ます。
慶應病院形成外科では先天性の目のまわりの病気の治療に力を入れております。先天性眼瞼下垂、瞼裂狭小症をはじめとした生まれつきの目のまわりの病気の御相談、他院での治療後の修正についてのご相談については下記の目のまわりの形成外科 診察・治療の具体的な流れを参照してください。

A君の場合(患者様のご両親に許可をいただき掲載しています)

先天性眼瞼下垂

2歳8か月時
左目は頑張っても開きにくい状態で、おでこにも力が入っています。2歳9か月時に左目に対する大腿筋膜移植術を行いました。右眼にうっすらと見えている重瞼線に合わせるようにデザインしました。大腿筋膜は眉毛内に吊り上げました。

4歳3か月時
自然な開瞼を得ることができるようになりした。本人も「目がよく見える」と言ってくれています。眼を閉じたときに少しだけ白目が見えますが(閉瞼不全)、角膜には問題ありません。 まぶたの傷も眉毛の傷も目立たず、ご両親も喜んでくださっています。

瞼裂狭小症

両側の眼瞼下垂のほかに眼瞼が細くなるという形態を伴う先天性の症候群です。 形態の特徴として(1)眼の縦と横の長さが短い(瞼裂狭小)、(1)下眼瞼の内側の皮膚がたるんでせりあがっている(逆内眼角贅皮)、(3)下眼瞼が内側にめくれあがる(下眼瞼内反)があります。軽症から重症のものまであります。
治療としては、眼が離れている印象を改善するための内眼角形成術と眼瞼下垂に対する手術を行うことになります。状況により外眼角形成術や隆鼻術も考慮しています。慶應病院形成外科では一度にすべての手術を行わず、段階的にステップを踏んで少しずつ治療に当たっていくことが多いです。患者様の状態によって重症度に大きな違いがあり、内眼角形成術や眼瞼下垂の手術術式も異なってきます。
慶應病院形成外科では先天性の目のまわりの病気の治療に力を入れております。先天性眼瞼下垂、瞼裂狭小症をはじめとした生まれつきの目のまわりの病気の御相談、他院での治療後の修正についてのご相談については下記の目のまわりの形成外科 診察・治療の具体的な流れを参照してください。

瞼裂狭小症

先天性眼瞼内反症

先天性内反症は、眼瞼自体は正常だが睫毛のみが内反する睫毛内反症と、瞼板の欠損や眼輪筋の肥大により眼瞼自体が眼球側に向く狭義の眼瞼内反症に分けられます。小児では睫毛内反症が大部分を占めます。
睫毛内反症は、成長に伴う顔の変化により自然治癒する場合が大半ですので、早期手術は行いません。2−3歳ころまでみて自然治癒が期待できないときに手術を検討し始めます。それまでは角膜保護用の点眼薬で経過観察を行います。
狭義の眼瞼内反症に対しては、眼瞼に通した糸だけで修正を行う河本法や、眼瞼皮膚を切開する方法、瞼板の切除も行うHotz法などの多くの方法がありますが、慶應病院形成外科では患者さんの状態に応じて、できるだけ目立たない切開を睫毛直下におく手術を行っております。

先天性眼瞼外反症

下眼瞼の発育障害によるcolobomaなどの皮膚の部分欠損に起因します。軽度のものは植皮術により、また顔面裂などの先天異常に合併する重度のものでは皮弁により手術を行います。

目のまわりの形成外科 診察・治療の具体的な流れ

ステップ1:

目のまわりの形成外科の担当は清水雄介です。外来診察日は基本的に火曜日の午前中ですので、火曜日の午前中に予約を取った上でお越しください。
紹介状がなく、あるいは予約が入っていない患者さんでも生まれつきの目のまわりの病気の患者さんに関しては、火曜日においでになっていただければ診察を受付けています。(待時間はかなり長いですが、ご了承ください。)

ステップ2:診察、写真・ビデオ撮影

治療方針を決定するための問診、写真・ビデオ撮影を行います。早期の手術が必要な場合や、手術をご希望される場合は手術日を決定いたします。

ステップ3:手術方法の説明、術前検査

手術の2週間位前に再度ご来院していただき、手術の具体的な治療方針をお伝えいたします。その後に全身麻酔のための術前の検査(採血、胸のレントゲン、心電図等)を行います。

ステップ4:入院および手術

手術の数日前に入院していただきます。手術に対する質問・ご要望などがある場合は、術前に再度お聞きいたします。術後7日頃に簡単な全身麻酔下で抜糸を行い、翌日に退院していただきます。

耳介変形

耳介は、胎生4〜20週にかけて形成されます。下図のように、主に6つの突起の複雑な癒合過程を経て作られるため、先天的に異常が表れやすい場所の一つです。

耳介は、胎生4〜20週にかけて形成されます

主に先天性疾患について記載しますが、基本的に耳介に関する全ての疾患に対応可能ですので、外来でお気軽にご相談ください。

小耳症

耳介の一部、または全部が欠損する先天異常です。耳の穴(外耳道)が閉鎖している場合もあります。約1万人に一人の発生頻度です。手術は8〜10歳以降に胸の肋軟骨を用いた手術を行います。最初に胸の軟骨を移植しておき、次の手術で耳の聳立(しょうりつ:立っていること)を作ります。通常2〜3回の手術が必要です。

小耳症の治療

立ち耳

一般に耳介は20〜30度ほど立っています。これ以上聳立していても必ずしも異常とは言えませんが、程度が強いとヘッドホーンを装着しづらかったり、耳を下にして寝ると痛いなどの症状がでます。どの程度耳が寝た方がよいかは個人の好みがありますので、外来でご相談ください。手術では、対耳輪形成と耳甲介側頭縫合をバランスよく行い、形態を改善します。

立ち耳の治療

埋没耳

耳介上部1/3が皮下に埋没した状態になっているものです。発生頻度は400人に一人程度で、両側性のものが30%あります。程度が強いと、メガネがかけられない、マスクができないなどの障害が出ます。
耳の軟骨や皮膚がやわらかい1歳以前は、専用の器具を用いた矯正を行います。矯正を行っても効果が不十分な場合や1歳を超えている場合は、手術をお勧めします。手術は、耳の上や後ろの皮膚を用いて、埋没した耳介を引き出します。

埋没耳の治療

耳垂裂

耳たぶが分裂している状態です。ピアスでできる場合もあります。先天的なものでは、縦方向に分裂しているもの、横方向に分裂しているもの、それらの混合したものなど、様々です。手術により、分裂した耳たぶの再建を行います。

耳垂裂の治療

副耳

典型的にはイボのような突起が耳前部にあります。多くの場合、中に軟骨が含まれていて、その発生起源は耳そのものです。頬部や頸部にできる場合もあり、首にできたものを頸耳と呼びます。
軟骨を含まず茎が小さいものは、生後すぐに糸で縛ります。手術による切除が必要なものは、1歳以降に行います。

副耳

耳瘻孔

耳介周辺に穴があれば、まず本疾患が疑われます。典型的には耳前部に開口部があり、外耳道上縁へ向かって瘻孔が通じています。他にも様々な場所に開口している場合があり、瘻孔の長さや深さも様々です。発生頻度は5%前後とされます。
圧迫すると悪臭を伴った粥状の分泌物が出てくる場合があり、化膿することも頻繁にあります。化膿すると患部は赤く腫れあがりますが、最終的に自潰して排膿すると一旦は落ち着く場合が多いです。病院で切開排膿すれば、化膿はより早く落ち着きます。しかし、そのまま放置しても再度化膿を繰り返す場合が多いため、一度化膿した場合には手術を行うことが望ましいです。化膿している場合には、化膿を落ち着かせてから手術を行います。
手術は瘻孔の完全摘出を行います。少しでも瘻孔が残っていれば再発するため、手術用ルーペで見ながら慎重に切除します。また化膿後の手術は再発率が上昇するため、化膿する前の予防的切除も行っていますので、外来でご相談下さい。

耳瘻孔
© 2011 Keio University Hospital